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高原の野鳥さえずる桜の春、新緑の青葉、

キレンゲショウマの夏、

穴吹川渓谷の紅葉、剣山系の雪景色ー

四国は剣山系の豊かな自然が、四季折々の輝きを放つ。

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木屋平は、穴吹川の上流域を中心として広がっており、海抜1,955mから200mまで,実に1,755mの徳島県屈 指の標高差を有する、動植物にとっては、豊かな生息環境となっています。

生育する植物約1,200種、生息する鳥類約90種、獣類約50種、昆虫類約1,300種。(阿波学会)

 

木屋平地域の95%は山林で、70%はスギ・ヒノキの人工林ですが、残りの崖や岩地、社寺林、中間温帯林から冷温帯域や寒温帯域の中尾山付近の薪炭林などには、カシ・ナラ類など多種の広葉樹やアカマツが多く、下層には山菜や山野草などが残されています。

 

剣山系の標高約1,000~1,200m以上に見られるブナにウラジロ モミ等が混生するブナ林と林床のスズタケ等のササ類が優占するスズタケーブナ 群落が最も広い面積を占め、次いでスギ、ヒノキの植林がみられ、これら2つの 群落で全体の7割を占めています。また、比較的多く見られる群落として、タラノ キ-クマイチゴ群落、クリ-ミズナラ群落、イヌシデ-アカシデ群落があり、稜 線沿いにはミヤマクマザサ群落、ダケカンバ群落が認められる。ほかは ヒメシャラ、クリ、サワグルミからブナ・ナラ・ミズナラ・カエデ等にモミ・ツガ・五葉松を交えた広葉樹など主とした天然林で、その大部分が100年を越える老齢林、下層には、シャクナゲ・ツツジの灌木類や希少な高山植物も生育しています。また氷河期からある樹木で、シコクシラベはダケカンバの林とともに県の天然記念物に指定されています。

剣山国定公園に指定されている、特に行場付近一帯は、オヒョウの群落やお花畑のカツラ の巨樹の群落など貴重な植生があります。シコクキレンゲショウマ、タカネバラ、ケンザンデンダ、アケボノシュスランなど130種以上の希少種が確認されています。

石灰岩の岩場には、大陸系の珍しい植物でギンロバイが着生し、村の花になっていました。

なお近年は、山頂付近にまでニホンジカの生息域が拡大し、地元猟友会でも数の調整が行われているものの、健全な森林の生育に影響が出ています。現在は樹皮食い防除ネットや、希少種であるキレンゲショウマなどは、シカ除けネットなどで保護されています。

剣山を頂点とする山嶺は穴吹川流域の西側に沿っ て、丸笹山(1,711.6m)〜赤帽子(1,611.4m)〜綱 付山(1,255.8m)〜正善山(1,229m)が連なり、東側には,一の森(1,879.2m)〜日奈田峠 (1,452.2m)〜天神丸(1,631.5m)〜川成峠(1,497.4m)〜 高城山(1,627.9m)〜東宮山(1,090.5m)など,いず れも海抜1,000mを超える高峰が連なっています。

木屋平の気候

瀬戸内型気候で年間を通じて比較的温暖です。しかし、徳島市と比較すると若干低くなっており、特に山間部においては寒暖の差が大きく、木屋平地区全体では標高差があり、西日本で2番目の高峰、剣山山麓地域の気候は、徳島県内で最も寒冷地域に属します。

剣山山頂部の寒さは特に厳しく年の平均気温 4.2℃,積雪は平均1m、深い所では2mに達します。冬季は閉山致しますのでご注意ください。

木屋平の地質

地形・地質は三波川帯、御荷鉾緑色岩帯、秩父帯から構成されていて、基盤岩は結晶片岩、チャート、石灰 岩など。

剣山や高城山などは、徳島県鳴門市から吉野川に沿って東西に、さらに愛媛県伊予市に ぬける中央構造線の南側にあたる外帯に位置し、壮年期の急峻な山々と変化に富 んだ深い谷が見られる標高が概ね1,000m以上の高標高地である。地層は、 中央構造線に平行する御荷鉾構造線、仏像構造線によって区切られ、北から緑色 片岩類などを中心とする三波川帯、古生代の砂岩、泥岩の互層に蛇紋岩等が局地 的に見られる秩父累帯及び白亜紀の砂岩、泥岩が見られる四万十帯が見られる。 また、土壌は、最も広い範囲において褐色森林土がみられ、三嶺、剣山等の急 峻な尾根や急傾斜地では岩屑土が分布し隣接してポドゾル化土壌が見られる。

 

いわゆる阿波の青石と呼ばれる緑泥片岩は、石垣や板碑などに加工され、その美しさから県外でも用いられている。

木屋平の野鳥

ミサゴやクマタカ等の大型猛禽類、ゴジュウカラをはじめとしたカラ類、キツツキ類、ミゾゴイ、サンカノゴイ、ヨタカ、トラツグミ、ヤマセミ、アカショウビン​、クロツグミ、オオルリ、サンコウチョウ、イカル、ミソサザイ、カワガラス、キビタキ、ルリビタキ、標高が上がるにつれ、ツツドリ、エゾムシクイ、メボソムシクイ、サメビタキ、センダイムシクイ、コマドリ、クロジ、コルリ、アカハラ、マミチャジナイ、アマツバメなど見られます。32科90種の生息が確認されています。​特に春、秋の渡りのシーズンや、春~夏にかけては冷涼な剣山山頂付近まで、数多くの野鳥が見られます。

また木屋平の中心地には、コンクリート建造物を利用してイワツバメの営巣が見られ、一方、田んぼが少ないのと空き家が多いので、スズメやツバメは減少しており、カワラヒワやホオジロの方が目立ちます。

また剣山系では、外来種のコジュケイ、剣山ではソウシチョウも増えており、特にウグイスなど生息環境が似る在来種にとっての悪影響が懸念されます。

旧木屋平村の鳥であった「アカゲラ」は、アカガシラと呼ばれして脳の良薬として昔は狩猟されていました。現在では滅多にみることはできません。

木屋平の哺乳類

環境省作成のレッドリストに絶滅のおそれのある地域個体群として掲載され ているツキノワグマの生息が四国で唯一剣山系で確認されているほか、特別天然記念物のニホンカモシカ、ヤマネ16 科38種の生息が確認されています。

特に日本固有種のヤマネは、​外国人研究者によって県産のものがライデン博物館に送られ、シーボルトの「日本動物誌」に発表されそうで、現在の四国では剣山系の雑木にしかいないとされています。

モモンガ、ホンドリス、キツネ、テン、アナグマも少数、モグラ、アカネズミ、タヌキ、ニホンザル、ノウサギ、イノシシ、近年はニホンジカと、ハクビシンの目撃頻度が高くなっています。特に二ホンジカは下層植物や樹皮食いなど食害の影響もあり、猟友会によって数の調整とシカ肉加工処理場にて食肉として加工され、利用されています。

「美馬市旧木屋平村の植物」

阿波学会紀要 第54号(pp.33-44) 2008.7 徳島県植物研究会(植物相班)報告資料

https://library.tokushima-ec.ed.jp/digital/webkiyou/54/033_044.pdf

「美馬市木屋平の水性昆虫」

要旨:美馬市木屋平の穴吹川本流および支流に生息する水生昆虫類の調査を実施し,水生昆虫類8目92種を確認した。 出現種数は,トビケラ目が最も多く,次いでカゲロウ目,カワゲラ目の順で,3目で出現種数全体の66%を占めてい た。出現した種は,清らかな流れを好む種が大部分を占め,調査地点における水質が良好であることを示している。 地点別出現種数は,調査地点のすべてで20種を越え,水生昆虫相が豊富であることが示された。穴吹川支流の渓流に おいては,出現種数が40種を越える地点も見られ,河床が安定し,良好な水環境を有していることが明らかになった。

阿波学会紀要 第54号(pp.81-89) 2008.7 徳島生物学会(水性昆虫班)報告資料

https://library.tokushima-ec.ed.jp/digital/webkiyou/54/081-090.pdf

「美馬市木屋平の甲虫」

2007年早春の3月30日から初冬の11 月10日までの9ヶ月にわたる木屋平地域の 甲虫の調査では、徳島県の市町村単位で最も多い1,424種の他、同定できない種も多く記録されている。

https://library.tokushima-ec.ed.jp/digital/webkiyou/54/065-076.pdf  

阿波学会総合学術調査,美馬市木屋平地域,甲虫(徳島昆虫研究会)


 

※参考

木屋平村史

​阿波学会研究史

​徳島県・美馬市資料など

​こやだいら観光ステーションれいわ
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